飲食店経営に必要な2つの資格・免許と、繁盛させる5つのスキル

飲食店経営に必要な2つの資格・免許と、繁盛させるための5つのスキル!

こんにちは。

 

大阪で、行列の出来るラーメン店「人類みな麺類」など、6つのラーメンブランドを運営している松村貴大(@jinrui_mina_men)と申します。

 

ラーメン屋以外にも、「焼き肉屋」「大学の食堂」運営などをしています。

 

▼人類みな麺類▼

 

 

飲食店を経営する際には、取るべき資格(免許)が最低でも1つありますが、店の規模によって2つ必要な場合もあります。

 

それらの2つの資格と、「あった方が良い資格」についても解説します。

 

また「資格」とは言いませんが、『こんなスキル(能力・適性)があれば繁盛店をつくれると思いますよ!』という点も松村なりに説明したいと思います。

 

 

 

 

飲食店経営には大した資格は必要ありませんが、それよりも「経営していく能力」の方がよっぽど必要です。

 

飲食店経営をお考えでしたら、ぜひ最後までご覧ください!


 

 

 

 

飲食店で「絶対必要な資格」と「場合によっては必要な資格」

飲食店を開業する時には、皆さん『調理師免許など料理に関する資格が必要だろうなぁ』と思われるでしょう。

 

しかし実際に必要となる資格は以下の2種類。

 

  1. 食品衛生責任者(必須)
  2. 防火責任者(場合によっては必要)

 

これらはラーメン屋・居酒屋・フレンチなどのジャンルに関わらず「必要」です。

 

ちなみに「調理師免許」は不要です。

 

 

1.食品衛生責任者(必須)

これは「飲食店」に関わらず、食品製造工場など「食品の衛生管理が必要な事業」を行う場合は必要な資格。

 

この資格を持ったものを「食品衛生責任者」として各店舗につき1人選び、保健所に届け出る必要があります。

 

もう少し具体的に言うと、「食品衛生責任者養成講習会」を受講した後にもらえる「終了証」が資格証明になります。

 

そして「飲食店営業許可申請」を保健所に届け出る際に、この「終了証」を一緒に提出することで後日「営業許可」が下ります。

 

ちなみに「食品衛生責任者の修了証」は17歳以上であれば誰でも簡単に取得できますが、自治体によっては「高校生は受講不可」としているためご注意下さい。

 

また栄養士・調理師・食品衛生管理者などの資格を有し「食品衛生の知識」をお持ちの場合は、この資格がなくとも「食品衛生責任者」になれます

 

※自身が講習免除に該当するか否かが分からない場合は、各地の食品衛生協会にお尋ね下さい

 

講習場所・内容・費用

  • 講習場所:各地の食品衛生協会
  • 受講費用:6000~10,000円(自治体により異なることを確認済み)
  • 受講時間:6時間

    ⇒衛生法規・公衆衛生学・食品衛生学の学習

 

関連ページ
>>【現役が解説】食品衛生責任者の取り方・期限・更新・注意点まとめ

 

 

 

2.防火管理者(場合によっては必要)

防火管理者は業種・用途によって「必要となる条件」が異なるのですが、ここでは「飲食店の場合」に限って説明します。

 

飲食店の場合は「収容人数が30人以上の店舗」の場合に限って、防火管理者が必要です。

 

そしてこの30人とは客席の数ではなく、従業員(社員+アルバイト)数も合わせてカウントされるのでご注意を。

 

例)客席20席+社員2人+アルバイト2人=24人

 

もしも収容人数が30人以上の場合は、「店舗の延べ面積」に応じて以下の届け出が必要です。

 

  • 300㎡以下の場合

    ⇒「乙種防火管理者」の届け出

  • 300㎡以上の場合

    ⇒「甲種防火管理者」の届け出

 

防火管理者になるには?
以下の通り「防火管理者講習」の受講(要予約)が必要です。

 

  • 講習場所

    ⇒開店場所の管轄消防署

  • 受講費用

    ⇒6000~8000円(場所や講習種別により異なります)

  • 受講時間

    ⇒乙種:1日間/甲種:2日間

 

※いずれも自治体により異なる可能性がありますので、「防災管理者講習 東京」などで検索して下さい

 

 

 

 

持っていると「アピール」になる資格!

では続いて、飲食店開業時に「アピールポイント」になる資格・免許をご紹介します。

 

たとえば居酒屋であっても、数多くのビールを揃えつつ「ビアアドバイザー」の資格を持っていれば、それだけで他所の居酒屋とは差別化を図れますよね。

 

また焼き肉屋で「ソムリエ」資格を名乗って接客することで、肉の提供だけでなく「肉にあったワイン+ワインの知識」までもを提供できます。

 

お客さんにとってそこに「付加価値」を感じてもらうことが出来れば、今後そのお店を選ぶ理由になりますよね。

 

とまあそのように、業務に直接関係ない資格でもアピールポイントに繋げられますので、ぜひ積極的に考えてみましょう。

 

 

挙げだしたらキリがありませんので、ここでは一部をご紹介します!

 

気になる資格がありましたら、関連資格など自分で幅広く調べてみましょう。


 

 

 

1.ソムリエ

ソムリエ資格を取得することで、ワインを中心としたお酒の知識が身に付きます。

 

たとえばビール・スピリッツ&リキュール・焼酎・ウィスキー・日本酒などなど。

 

そして「ワイン」と「世界中の料理」の相性を判断できるようになるため、お酒を提供しているお店であれば誰が取っても損のない資格です。

 

なお「ソムリエ」の呼称は以下2つの団体により認定してもらえます。

 

  • JSAソムリエ

    ⇒日本ソムリエ協会による認定資格。一般的に「ソムリエ=JSAソムリエ」を指すことが多いため、出来ればこちらを取得したいところですが、種類業界に3年以上従事していなければ受験できません。

  • ANSAソムリエ

    ⇒経験・職歴は不問です。一般のお客様は2種の違いまで気にされない(普通は知らない)ため、+αのアピールポイントとして活用するレベルであれば、こちらを取っているだけでも十分意味があります。

 

「ソムリエ」という呼称は広く一般的に知られているため、かなり強力な付加価値になるでしょう。

 

 

 

2.「ワイン以外のお酒」に関する資格

ビール・日本酒・カクテルなど幅広い資格が色々ありますが、やはり横文字の方が雰囲気的に「っぽさ」が出るような気がします。(個人的な意見)

 

ビールに関する資格

  • 日本ビール検定

    ⇒3級~1級まであり、ビールに対する興味・関心があれば誰でも申し込み可能。愛好家が受けているイメージが強いかも。

  • ビアアドバイザー

    ⇒ビールの基本知識のほか、美味しい飲み方、料理との組み合わせなど「ビールを美味しく提供するための資格」。満20歳以上であれば受験出来ます。

  • ビアテイスター

    ⇒ビールの味わい方・味・品質などを評価する知識と、テイスティングの基礎的な能力を認める資格。

 

日本酒に関する資格

  • きき酒師

    ⇒日本酒や酒類全般の知識の他、テイスティング力、季節に合った料理や酒器の提案力などが身に付きます。プロフェッショナルが取るイメージがありますが、最近では一般愛好家にも人気。誰でも受験できます。

  • 日本酒検定

    ⇒主に消費者向けの資格であり、テイスティングもない簡単なもの。

 

焼酎に関する資格

  • 焼酎きき酒師

    ⇒焼酎を中心に種類の知識や、テイスティング力、料理との組み合わせなどを学びます。

 

カクテルに関する資格

  • カクテル検定

    ⇒3級~1級までありますが、「カクテルを身近に楽しんでもらうための資格」という位置づけ。プロフェッショナル感はあまり出ないかもしれませんが、バーテンダーの資格取得ハードルが高いため、こちらがお手軽。

※カクテルには有名な「バーテンダー」の資格もありますが、バーテンダーを職業としていなければ受験できません

 

 

 

3.料理に関する資格

料理に関する資格も色々存在します。

 

  • ベジタブル&フルーツマイスター(野菜ソムリエ)

    ⇒野菜・果物の種類や栄養、保存方法などの知識が身に付きます。3段階の資格がありますが、最近は知名度が上がっていますので、通常の「野菜ソムリエ」でも十分使えるでしょう。

  • 和食マイスター

    ⇒和の作法やマナーの他、野菜や魚、汁もの、米・雑穀など幅広い「和食」の知識が身に付きます。

  • 調理師免許

    ⇒国家資格でありかなりメジャーな資格。一般消費者はそもそも『えっ飲食店って調理師免許必要ないの?』という認識であり、持っていてもそれほどプラスには働かないかもしれません。ただし「創作料理・創作ラーメン」などを提供しているお店では、雰囲気が出ると思います。

 

 

 

冒頭でも説明の通り、民間の資格は幅広く存在するため全部は紹介していません。ご了承下さい。

 

なお、たとえば「ソムリエ検定が2種類ある」ということを初めて知った方も多いと思いますが、それくらい一般消費者は資格について深く認識しておりません。

 

そのため、とりあえず『おぉ!なんかすごそう!』と思ってもらえそうな資格を取っておくと、(たとえ正直すごくない資格だったとしても)お客様との話のネタにもなりますし、それが付加価値に繋がります。


 

 

 

 

繁盛させるために身につけるべき5つのスキル・能力

最後は「資格」ではありませんが、『飲食店を繁盛させる上であったら方が良いな』と私が感じるスキル(能力)や適性について説明します。

 

 

1.「気づく」スキル

めちゃくちゃ大切なので最初に挙げます。

 

ここでは分かりやすく「接客」で話を進めますね。

 

接客は店のコンセプトごとに、求められるレベル・雰囲気は変わります。

 

一概に「元気が良ければ良い」わけでもありませんので、そのあたりは「お客様にどんな空間を提供したいのか」によって変えれば良いでしょう。

 

ただ現代は「美味いのが当たり前」なので、味に加えて少しでも「他所より“気づき”の伴った接客」を心がけるべき。

 

以前、697人にアンケートを取ったところ以下の数字が出ました。

 

  • 味が美味しくても、「不快な接客」ならもう行かない

    ⇒82%

  • 味が普通でも、接客態度が良ければその後も通う

    ⇒67%

 

この数字を見れば、接客が「飲食店経営をする上でめちゃくちゃ大切な要素」であることはお分かり頂けるかと思います。

 

先ほど「持っていると「アピール」になる資格!」でソムリエ資格などを紹介しましたが、話すのが得意でなければ、料理やお酒の知識を添えることで付加価値を提供することも出来ますよね。

 

ただ一番大切なこととして、接客によって「プラスの印象」を狙うのはもちろん大切ですが、「マイナスな印象」を残さないことです。

 

そして「不快に思うポイント(マイナスな印象)」は人それぞれであり、たとえば

 

  • お客さんの前でアルバイトを叱ること
  • 小銭を触った手で食材を触ること
  • 従業員同士が喋っていること

 

これらに何も感じない(気が付かない)方もいらっしゃれば、非常に不快に思う方もいらっしゃいます。

 

「あなたの普通」が「他人の不快」であるかもしれない。

 

ここに「気づき」があるかどうかです。

 

接客だけではなく、商品の盛り付け、提供の仕方、掃除、ありとあらゆる部分に「気づき」が必要です。

 

大きなことばかりに意識がそれ、目の前の「出来ていて当たり前」に気づけないのです。

 

「小さな当たりまえ」の積み重ねが、繁盛店とそうでないお店の違いとも言えるでしょう。

 

 

 

 

2.全てのお客様に全力で向き合える人

スキルと言うより「心構え」のようなものですが、こちらも「超重要な要素」です。

 

食べに来て下さったすべてのお客様に、感謝の気持ちを持てますでしょうか?

 

当たりまえのような話ですが、これが出来ていない人が多いと感じます。

 

たとえば雨の日に『今日はたった30人かぁ…』とマイナス思考になるのではなく、『雨なのに30人も来てくれた!』とポジティブに感謝の気持ちを持ちましょう。

 

そのような気持ちを持つことが出来れば、接客にも表れてくるハズ。

 

『ありがとうございました。』ではなく『このような天気の中、ありがとうございました!足元お気をつけてお帰り下さい!』と、自然と感謝の気持ちが言葉になって出てくるでしょう。

 

毎日たった1人でもファンになって下さる方がいれば、月に30人の常連客が増えます。

 

すべてのお客様にファンになって頂けるよう、目の前のお客様に感謝の気持ちを持ち、全力で向き合いましょう。

 

感情が人を動かします。

 

あなたにその感情があれば、きっとベストなサービスを提供していることでしょう。

 

 

めちゃくちゃ大切な要素だと思っています。

「飲食店は“人”で創られている」というのが私の考えです。


 

 

 

 

3.常に「お客様ありき」の考えが出来る人

こちらも「超重要な要素」です。

 

「接客」にしても「商品」にしても、まずは第一に『お客様が喜んでくださるのか?』を考えるのがサービス業だと私は考えています。

 

『お店はお客様のためにある』と考えましょう。

 

『私の創る味を食べてもらいたい!』という気持ちも大切ですが、ニーズを汲み取って上手く「一体化」させていくことが大切。

 

そしてそのためには、最初の「コンセプト作り」が何よりも重要です。

 

コンセプトは「お客様ありき」で考えよ

極端な例を出すと、「脂ギトギトのラーメン」を渋谷109の中に出店してもダメでしょう。

 

なので最初は「あなたが作る味・お店」をどこの誰が欲しているのか、しっかりと考え抜きましょう。

 

上記はあくまでも「場所」だけの話ですが、要はコンセプトは「お客様ありき」で考えるべきであり、コンセプトが「その地のニーズ」にマッチしていなければ、接客も商品もすべて「自分ありき」になってしまう可能性があるということ。

 

ちなみに、例えばコンセプトが「大人OLが一人でゆっくりくつろげるラーメン屋」だったとしたら、たとえ『子供用のイスが欲しい』という声があったとしても、用意する必要はありません。

 

なぜなら最初から狙っている客層が「一人でゆっくりしたい大人OL」だからであり、イスを設置することで子どもの喚き声に嫌気をさしたお客さんは離れてしまいますよね。

 

もちろんあまりにその声が多いとすると、その土地には「子ども連れ向けのラーメン屋」の方がニーズが高かったとも言えます。

 

「あなたのコンセプトにあったお客様」に対して『どんなことをしたらさらに喜んで頂けるのか?』を常に考えられる人は、繁盛店を創り上げる素質があると私は思います。

 

 

コンセプト作りは、あなたが飲食店を楽しく経営していく上でも非常に重要。

 

別記事「“飲食店経営は地獄”と言われる7つの理由と、難しい壁を超える心得」でも簡単に解説しています。


 

 

 

 

4.人を育てられるスキル

他人を育てるということは、まずは「自分が出来ている」ことが前提にあります。

 

その上で社員やアルバイトを育て、任せられるスキルが必要。

 

ラーメン屋など「職人気質」なジャンルは特に、「指導」や「任せること」が苦手な方が多い印象がありますね。

 

今はネットでの評価がシビアに響きますので、自分がいなくとも「味がブレないオペレーション」を確立し、クレームが入らない「接客の基礎」を教え込まなければなりません。

 

お客さんからすれば、あなたも含めて全ての人が従業員であり、全ての人が評価対象になります。

 

さらに大切なこととして、自分自身がいつも現場でバタバタと働いていると、俯瞰して「経営」を考える時間がなくなります。

 

経営者として居る以上、「考える時間」を持つことは非常に重要です。

 

右肩上がりの時ほど「次の戦略」を練っておかなければならないのに、多くの経営者はここであぐらをかいてしまい、ガタが出たあとに回復できなくなります。

 

一般的に陥るパターン

  1. 日々の仕事に忙殺される
  2. 勉強や情報収集の重要性は理解しているが、仕事後は気力・体力とも尽きている
  3. 『今日もお疲れ!』とお酒を飲み、ますます思考停止
  4. 休日は遊びたい!子どもとの時間を大切にしたい!
  5. 経営の視点から戦略を練る時間は皆無

 

最悪なケースとしては、任せられず現場に出続け、寝る時間を削って経営戦略を練るうちに体調を崩すパターンも。

 

お店に出ることは問題ないのですが、「いつでも自分が抜けられる仕組み」は予め想定して構築しておくべきだと思います。

 

 

 

 

5.スピード感を持つこと

ビジネスにおいて「スピード感」はとても大切だと言われます。

 

そして「繁盛する飲食店」を創り上げる上でも、もちろん必要だと私も考えています。

 

ただ勘違いして欲しくないのは、「スピード感=120%の行動力で疾走する」ということでは無いです。

 

私が思うスピード感とは「物事の決断力を早めることで、立ち止まらないこと」。

 

『〇〇をやった方が良さそうだけど、もしかしたら××になるかも…』

 

『〇〇を購入した方が良さそうだけど、損するかもしれない…』

 

必ずこのような状況に直面しますが、私ならさっさと行動します。

 

もしもダメならその経験を次へ生かします。

 

そしてもう一つ大切なのが「完璧を求めない」ということ。

 

『とりあえずやってみよう!走りながら考えよう!』

 

この意識を持ちましょう。

 

 

もちろん「出店場所を決める」など、大きな決断には時間を掛けるべきです。

 

私が言いたいことは、経営していく上では「いくら考えてもどうなるか分からない部分」が多々出てくるため、さっさと判断して都度調整していきましょうということ。

 

経営者は「Time is Money」を忘れずに。


 

 

 

 

まとめ

最後に簡単にまとめておきます。

 

飲食店を経営する上では、基本的には「食品衛生責任者」のみ取っておけばOK。

 

そのうえで「飲食店営業許可」の申請を行います。

 

ただし収容人数が30人を超えるお店の場合は、「防火管理者」も必要です。

 

そのほか「繁盛店を創るために必要なスキル(適性)」も説明しましたが、最も大切なことは【お店は人で出来ている】ということだと思っています。

 

これから飲食店経営をお考えの方は、ぜひ以下の記事にも目を通して見て下さい!

 

 

 

開業する以上気になるであろう「お金のお話」は以下をどうぞ。

 

 

 

以上、参考になりましたら幸いです。