【現役が解説】食品衛生責任者の取り方・期限・更新・注意点まとめ

【現役が解説】食品衛生責任者の取り方・注意点と、有効期限・更新有無まとめ

こんにちは。

 

大阪で、行列の出来るラーメン店「人類みな麺類」など、6つのラーメンブランドを運営している松村貴大(@jinrui_mina_men)と申します。

 

ラーメン屋以外にも「焼き肉屋」「大学の食堂」などを運営しています。

 

▼人類みな麺類▼

 

 

飲食店を開業する上では必須の資格となる「食品衛生責任者」。

 

私も店舗を出店する度に、毎回一人「食品衛生責任者養成講習会」を受講させております。

 

このページでは、この「食品衛生責任者」について

 

  • どのような資格なのか?
  • どのように取るのか?
  • 費用はどれくらいか?
  • 有効期限の有無、更新は必要なのか?

 

などなど、必要な情報を一通りまとめました。

 

 

 

 

食品衛生責任者の資格を取得した後は、「営業許可申請」も別途必要です。

 

それらの流れも解説していますので、ぜひ参考にして下さい。


 

 

 

 

食品衛生責任者とは?持っているメリットは?

食品衛生責任者とは、

 

  • 「食品衛生責任者養成講習会」を受講した人であり、かつ
  • 店舗の「食品衛生責任者」として選任された人

 

のことを言います。

 

よく資格の名前のことを「食品衛生責任者」だと勘違いする方がいらっしゃいますが、あくまでも「店舗を運営していく上で選任された人」のことを言います。

 

以下の人は講習会は不要

 

以下の資格をお持ちの方は「食品衛生責任者養成講習会」を受けずとも、食品衛生責任者になれます。

 

  • 食品衛生管理者(この後説明)になることができる者
  • 食品衛生監視員になることができる者
  • 栄養士
  • 製菓衛生師
  • 調理師
  • 食鳥処理衛生管理者
  • 船舶料理士
  • ふぐ包丁師(ふぐ処理師)
  • etc...

 

なお「ふぐ調理師」に関しては全国的に名称が異なるなど、標準化されていない資格であり地域によっては責任者への可否が異なるため要注意。

 

 

 

何をする人なの?

「食品衛生責任者」は、お店を運営するにあたって

 

  • 現場の責任者として「食品衛生関連の法令」に違反しない様、施設・業務全般の衛生管理をする
  • 食品衛生上の危険がありそうな場合、営業者(経営者)に改善を提言・促進する
  • 他の従業員へ「衛生教育」をする

 

という大きく3つの役割を担います。

 

 

 

お店を経営する場合に必須である

飲食店に関わらず、コンビニやスーパーであっても「食品の製造販売を行っているお店」では、一店舗につき1人の選任が必要

 

さらに注意すべきは、複数店舗を経営している場合は各店舗に一人選任しなければならず、同じ者が複数店舗の食品衛生責任者にはなれません

 

したがって複数店舗経営する場合は、毎度その店の店長などに「講習会の受講」をお願いしなければなりません。(店長である必要はありません)

 

営業許可が下りるまでの流れ

  1. 「食品衛生責任者養成講習会」を受講する
  2. 受講後に交付される「修了証書」とともに、保健所に「営業許可申請書」を提出する
  3. 保健所の担当が、基準を満たしているか店舗チェックに来る
  4. 問題ない場合は「許可証」が交付される

 

▼私が取得した時のもの▼

 

 

 

「食品衛生管理者」との違いは?

よく似ている名前で「食品衛生管理者」と呼ばれるものがあります。

 

これは「食品または添加物」を製造・加工する施設において、その工程の中で特に衛生上の考慮を必要とする営業者(工場)に配置が義務付けられているもの。

 

こちらは「国家資格」であり、受験手数料が約30万円掛かります。

 

普通の飲食店経営であれば、「食品衛生管理者」の資格が必要になることはまず無いと考えて良いでしょう。

 

 

 

 

食品衛生責任者の取り方は「講習会」を受講するだけ?

「食品衛生責任者」になるには、まずは「食品衛生責任者養成講習会で修了証書を受け取る」必要があると説明しました。

 

この「食品衛生責任者養成講習会」は

 

  • 衛生法規:2時間
  • 公衆衛生学:1時間
  • 食品衛生学:3時間(地域によっては簡単な試験あり)

 

の3つに分かれており、たった1日の受講で修了証書を貰うことが出来ます。

 

なおこのカリキュラムは1997年より全国で標準化されていますが、試験の有無には差異があるようです。(後述します)

 

ただし簡単な試験なので実質は「受講するだけ(話を聞くだけ)」と言えます。

 

 

 

受講資格はあるの?誰でも受けられる?

「食品衛生責任者養成講習会」は、17歳以上であれば基本的にはどなたでも受講が可能

 

ただし「現役高校生」の場合は受講不可としている所が多いです。

 

たとえば東京に関しては明確に「高校生は不可能」と記載している一方で、京都に関しては以下のような記述がみられます。

 

食品を扱う上で大切なことを基礎からしっかりと学んでもらうための講習会です。
これからお店を開かれる方はもちろんのこと、知識向上の為に高校生や大学生が受けに来られたり、家庭を守るために主婦の方々が受けにこられたりと目的は様々です。

引用:京都府食品衛生協会

 

なお外国人の方は「日本語が理解できる」かつ「在留カードor特永住者証明書をお持ちの方」に限るとされています。

 

神奈川県に関しては「満15歳以上(義務教育履修中の者を除く)の方」は受講できるとの記載があるくらいなので、いずれにせよ自治体によって対応がかなり異なるため、受講資格が気になる方は事前に確認しておきましょう。

 

 

 

「食品衛生責任者養成講習会」は事前予約が必要です

講習会を受けるためには各都道府県の食品衛生協会への「受講の予約」が必要。

 

場所によって異なりますが「電話・FAX・はがき・インターネット」で申し込みます。

 

申し込み後、受講日までに「受講票」が届きますので当日はその受講票を持参すればOK。

 

当日の流れは、このあと「当日の流れ」と「テストの難易度」で説明します。

 

なお都内や大阪といった人口の多い地域では「1~2か月先の予約も埋まってしまう」という事が多々ありますので、早めに予約しておきましょう。

 

 

 

開店まで時間が無い!という場合

「予約を忘れていた!」「予約していたのに受講を忘れてしまった!」という場合は、以下の2通りの方法があります。

 

1.キャンセル待ちの申し込みをする

体調不良などで当日は欠席者がでる場合があり、それを見越した「キャンセル待ちの受付」が会場にてされています。

 

対応は会場によって異なる可能性がありますが、事前の電話受付はしていない場合が多いため、空席が出ることを祈りつつ会場へ向かいましょう。

 

2.「講習会を後日受ける」という宣誓書を提出する

開店まで時間がないという方は、営業許可申請を提出する時に「“後日、養成講習会受講を受講します!”という宣誓書」を提出することで、とりあえず営業許可申請を出すことも可能です。

 

以下は大阪市のもの。

 

参考:大阪市:食品衛生法に基づく営業許可関係

 

 

 

保健所への「営業許可申請」は一般的に2~3週間前には済ませておく必要があるため、講習会は開店の1か月前には受講しておくのが無難です。


 

 

 

 

【受講当日の流れ】費用・持ち物・テストの難易度について

「食品衛生責任者養成講習会」の当日の流れを説明します。

 

都道府県によって多少異なる可能性はありますが、おおよそ以下の通りです。

 

  1. 9時半までに入室する
  2. 受講料を支払う
  3. テキストを受け取る&席に着席する
  4. 受講の注意点の説明
  5. 講義①:衛生法規(2時間)
  6. 講義②:公衆衛生学(1時間)
  7. 講義③:食品衛生学(3時間:地域によっては試験あり)
  8. 修了書の交付
  9. 終了

 

 

 

「費用」と「持ち物」について

当日の持ち物は以下の通り。

 

  • 受講票
  • 筆記用具
  • 受講費用
  • 「受講票に記載されている名前」を確認できる身分証明書

 

費用は都道府県で異なる

受講費用については、教材費を含めて10,000円としている所が多いように思います。

 

しかしたとえば宮崎県は6,000円(2020.5月時点)としているなど、自治体により異りますので確認しましょう。

 

 

 

試験(テスト)の難易度について

まずは「試験の有無」について。

 

食品衛生責任者養成講習会の3つ目のカリキュラム「食品衛生学」の中で「当日学んだ内容を振り返るための簡単な試験」が実施される地域があります。

 

たとえば東京では明確に試験がある旨の記載があります。

 

しかし大阪で私が取得した際は試験を受けた覚えがありませんし、2019年の夏に弊社の従業員が受講した際にも試験はありませんでした。

 

以下の通り兵庫県でも無いようです。

 

 

試験がある地域でもテストは簡単とのこと

試験があったとしても、5~6門の選択式の設問であり、かつ講義中に『ここ重要です!線を引いてくださいね!』と教えてくれるようでして、通常は落ちることのないテストになっているようです。

 

上で説明の通り、少なくとも大阪や兵庫では試験が無いため、そもそもこのテストは形式上行われている可能性がありますね。

 

なぜならこの後説明する通り、東京では「修了証を兼ねた手帳」を貰えるわけですが、テストを受ける前から予めこの手帳は作られています…。

 

したがって実質ほぼ100%受かるように作られていると考えられます。

 

 

 

「修了証」は都道府県によって形が異なる

試験を含め講習会が終わると、最後に「修了証書」を受け取ります。

 

大阪では「賞状」の形で交付されましたが、東京では「食品衛生責任者手帳」という形で受け取るようです。

 

▼大阪で私が取得した時のもの▼

 

 

 

 

このように形は異なれどお店の「営業許可申請」をする際はこの「修了証書」が必要となりますので、大切に保管しておきましょう。

 

 

 

 

修了証を交付された後にやるべきことは?

店舗を開業する方は保健所へ「飲食店の営業許可申請」をしますが、その際に「修了証」の提示が必要です。

 

また店舗や事業所の「見やすい場所」に、「食品衛生責任者の名前」のプレートを掲示しなければなりません。

 

大阪府食品衛生法施行条例

営業者は、食品衛生責任者又は自家製ソーセージ食品衛生責任者(以下「食品衛生責任者等」という。)の氏名を明記した標識を営業の施設の見やすい場所に掲示すること。

参考:大阪府食品衛生法施行条例

 

 

ただしこの「見やすい場所」というのは曖昧で、特に「お客様から見える場所」とも決められていませんので、パッと見では見えない場所に保管しているお店も多いです。

 

なお「食品衛生法施行条例」は都道府県により微妙に異なるため、地域によっては「お客様から見える場所に」と場所を限定している可能性もありますので要チェックです。

 

 

 

地域によっては「食品衛生実務講習会」の受講が義務となっている場合もある

さらに言うと、地域によっては「食品衛生実務講習会」の受講を義務化している場合もあります

 

簡単に言えば「“食品衛生責任者”が定期的に受講しなければならない講習会」です。

 

以下は「埼玉県の食品衛生法施行条例」ですが、埼玉においては条例に書かれています。

 

埼玉県食品衛生法施行条例

食品衛生責任者は、市長が行う講習会又は市長が適正と認めた講習会を定期的に受講し、常に食品衛生に関する新しい知見の習得に努めなければならない。

参考:埼玉県食品衛生法施行条例

 

その他「埼玉県食品衛生協会:実務講習会とは?」にも記載があります。

 

お住まいの地域によって異なりますので、必ず確認しておきましょう。

 

 

 

食品衛生責任者の「有効期限」と「更新」について

まず、講習会を受けた際の「修了証」には有効期限はありません

 

したがって「食品衛生責任者の更新」という概念も基本的にはありません。

 

ただし『店舗の食品衛生責任者を変更したい』という場合に関しては、変更という名の更新が必要です。

 

なお、保健所からもらえる店舗の「営業許可証」には有効期限がありますので定期的な更新が必要です。

 

関連ページ
>>飲食店の営業許可を取る5つの手順と、費用・更新・注意点まとめ

 

 

 

紛失時の再発行について

修了証を紛失した場合の対応も地域によって微妙に異なりますが、基本的には再交付されます。

 

その際は手数料2,000円(郵送手続きなら+1,000円)としているところが多いため、少なくとも手数料は掛かると考えておいた方が良いです。

 

一部の参考ページ

 

 

 

その他、飲食店経営に必要な資格について

ここまで説明の通り、飲食店を経営する場合は「食品衛生責任者の選任」は必須です。

 

そのうえで「飲食店の営業許可申請」を行い、店舗の設備・構造に問題ないことを確認してもらったあとに、営業許可が下ります。

 

「無許可営業」は罰則がある上、罰則が与えられた場合はその後2年間は営業許可を取れないのでご注意を。

 

>>飲食店の営業許可を取る5つの手順と、費用・更新・注意点まとめ

 

 

また「収容人数が30人以上の店舗」の場合に限っては「防火管理者」の選任も必要です。

>>飲食店経営に必要な2つの資格・免許と、繁盛させる5つのスキル

 

 

なお「調理師免許」は不要です。

>>飲食店で調理師免許は不要だが、繁盛させる上で必須なモノを教える

 

 

 

まとめ

食品衛生責任者について一通り説明しました。

 

食品衛生責任者講習会での試験の有無・費用、そして修了証交付後の対応に関しても、地域によって異なることが分かります。

 

詳しい内容について各都道府県の「食品衛生協会」ホームページからご確認ください。

 

 

以下の記事では「繁盛店を創り上げる上で大切な要素」をたくさん説明していますので、ぜひご一読ください!

 

 

開業する以上、気になるであろう「お金のお話」は以下をどうぞ。