7割が間違える!「弊社・当社・自社」の違いと、正しい使い分け方を解説します
こんにちは。
大阪で、行列の出来るラーメン店「人類みな麺類」など、6つのラーメンブランドを運営している松村貴大(@jinrui_mina_men)と申します。
社会人になると、誰しも一度は疑問に感じることがあろう
- 弊社(へいしゃ)
- 当社(とうしゃ)
- 自社(じしゃ)
の違いと、それぞれの正しい使い方をまとめました。
ちなみに、今回100人に対して『3つの違いが分かりますか?』とアンケートをとったところ、7割の方は正しく理解できていませんでした。
そこでこれら3つの使い分け方と、似たような表現である「わが社」「小社」との違いについても解説します。
少なくとも「弊社」と「当社」だけは、しっかりと使い分けられるように覚えておきましょう。
「弊社・当社・自社」 3つの違いとは?
弊社・当社・自社、これら3つはいずれも「自分の会社」を指す言葉です。
しかし微妙にニュアンスが異なりますので、使い方には注意が必要。
結論から言いますと、以下の違いがあります。
- 弊社(へいしゃ)
⇒主に「社外」に対して使う言葉であり、へりくだった表現
- 当社(とうしゃ)
⇒主に「社内」に対して使う言葉であり、「自社」よりも丁寧な言葉
- 自社(じしゃ)
⇒「自分の会社」を示す言葉であり、対義語は他社。社内の会話で使われることもあるが、「当社」と比べて丁寧さは無い。
ではここから、それぞれについて詳しく解説していきます。
「弊社」の意味と使い方!
弊社は主に社外の人に対して使う言葉であり、「自分の会社」を謙(へりくだ)って表現する時に使います。
謙るとは「他人を敬って自分については控えめな態度を取る(謙遜する)」ということ。
言い換えると、相手の会社に対して「上から目線で偉そうな態度」にならないように使う言葉です。
使い方と注意点
「書き言葉(メールなど)」「話し言葉(対話・電話など)」ともに弊社を使います。
ただし「弊社」は社外に対して使う言葉であり、社内の人間との会話では使いませんので要注意。
なお「相手の会社」に対して使う言葉でもありません。
「相手の会社」に対しては
- 御社(おんしゃ)
⇒話し言葉(口頭で使う時)
- 貴社(きしゃ)
⇒書き言葉(文字で使う時)
という2つの言葉を使い分けましょう。
関連ページ
>>「御社・貴社」の意味と違いとは?5割の人が知らない使い分け方
「当社」の意味と使い方!
当社は主に社内の人に対して使う言葉であり、上下関係がなく対等な位置づけで話す場合に使用されます。
たとえば社長が従業員に話す時は、『当社の今期の利益は~』のような表現となり、決して「弊社」は使わないですよね。
使い方と注意点
当社は「私(たち)の会社」を丁寧に表現した言葉なので、社内とは言えども少しカッチリしている場で使用します。
たとえば同期と2人で喋っている時に『当社の製品は〇〇が改善点だよなぁ』という表現よりも、『ウチの会社の製品は~』くらいの表現になるのが普通でしょう。
そのため社内プレゼンなど「きちんとした雰囲気」の中で使用するのが自然です。
なお提案・交渉およびクレーム対応などで、相手と対等の立場に立つ必要がある場合は、へりくだる「弊社」を使うのではなく、あえて「当社」という言葉で、相手に対して強気の姿勢(対等であること)を表現することが出来ます。
また会社説明会では『当社の強みは〇〇で~』のように使われることが多いですが、これも決してへりくだるべき関係性ではないことから、「当社」が使われています。
「自社」の意味と使い方!
自社は文字通り「自分の会社」を指すものであり、一切の「丁寧さ」がない表現。
自社の対義語が「他社」であることからも分かるとおり、「弊社」「当社」のような概念ではなく、あくまでも「自分の会社」を漢字2文字に省略しているだけです。
使い方と注意点
自社株や自社製品など、「自社〇〇」という言葉で使われるのが一般的。
とは言え、社内の会話において『自社としては、そのような方向で考えるのが妥当かもしれないな…』のように、「当社」よりも崩した表現で利用できます。
「わが社」「小社」との違いも知っておこう!
少し余談ですが、似た表現となる「わが社」「小社」についても触れておきます。
わが社
わが社は、「当社」や「自社」と同様にへりくだったニュアンスは含みません。
役職についている人(組織内の上位層)が社内に対して使用する言葉であり、若手社員が使用すると違和感があります。
小社(しょうしゃ)
小社は「弊社」と同様に、自分の会社のことをへりくだって表現する際に使用される言葉。
「しょうしゃ」と読むことから「商社」と聞き間違いが想定されるため、メールなどでの「書き言葉」として使用されます。
ただし、
- そもそも「小社」よりは「弊社」が一般化している
- 「小さな会社」という意味も持っている
という理由から、あえて「小社」を使う必要は無いでしょう。
【実例】5つの使い分け方を紹介します!
「弊社・当社・自社・わが社・小社」の5つの使い分けを、実際の例とともに紹介します。
まずはここまで挙げた5つの言葉を、利用シーンによってざっくりと「社内外」で分けて見ました
社外に対して使用 | 社内に対して使用 | |
---|---|---|
弊社 | 〇 | ✖ |
当社 | △ | 〇 |
自社 | ✖ | 〇 |
わが社 | ✖ | 〇 |
小社 | 〇 | ✖ |
△・・・営業やクレーム対応など、自社を「対等の立場」として見せる場合などで使用可能
「弊社」を使った場合の例
- 社外へ(文章):
『いつも弊社サービスをご利用頂きまして、誠にありがとうございます。』
- 社外へ(口頭):
『この度は、弊社の不手際でご迷惑をお掛けしてしまい、誠に申し訳ございません。』
「当社」を使った場合の例
- 社内にて:
『当社の今期目標は売上〇〇億円。社員一丸となって頑張りましょう。』
- 社外への営業・交渉にて:
『当社が今もなお選ばれている理由は、〇〇によって24時間365日安定的な供給が可能だからです。』
- 会社説明会にて:
『当社では新人研修時に3ヶ月間のプログラミング研修を行うため、文系の方でもやる気があれば全く問題ありません。』
「自社」を使った場合の例
- 社内にて:
『あれはあまりにもお粗末で、自社製品として営業するのは辛いよ…』
『まぁ自社においては結果が出ればどちらでも良いので、〇〇さんがベストだと思う方を選択してよ!』
「わが社」を使った場合の例
- 社内にて:
『このプロジェクトは、わが社の命運が掛かっている。大変だが頑張ってくれ。』
「小社」を使った場合の例
- 社外に対して:
『お手数おかけしますが、小社サポートデスクまでご連絡下さいませ。』
「御社」「貴社」は全く意味が異なる
似たような漢字に「御社・貴社」という2つの言葉がありますが、これらは「相手の会社」を表現する言葉です。
そのため「自分の会社」を表現している弊社・当社・自社などとは、根本的に指しているものが異なります。
なお御社・貴社の違いは以下の通りです。
- 御社(おんしゃ)
⇒話し言葉(口頭で使う時)
- 貴社(きしゃ)
⇒書き言葉(文字で使う時)
関連ページ
>>「御社・貴社」の意味と違いとは?5割の人が知らない使い分け方
【アンケート結果】7割が使い分け方を知らない…
今回、クラウドサービスにて100人に対して『弊社・当社・自社の使い分け方を知っていますか?』と質問しました。
その結果、なんと77人の方が『正直知らなかった』『3つのうち2つは分かる』という回答でした。
つまり似ているこの3種類の使い分け方は、7割以上の方が間違えてしまう可能性あるということ。
今回のアンケート結果
対象:100人(クラウドサービス登録者)
アンケート内容・結果
質問①:弊社・当社・自社の違い、ご存じでしたか?
- 知っていた:23人
- 3つのうち、2つの違いは知っていた:40人
- 正直なところ知らなかった:37人
質問②:相手がこれらの「使い分け方」について間違っていた場合、気になりますか?
- 気になる:40人
- 特に気にしたことはない:60人
質問③:あなたは気にして使い分けていますか?
- 使い分けている:20人
- 3つのうち2つは使い分けている(弊社・当社・自社のうち、1つは使っていない):46人
- 違いを知らなかったので使い分けていなかった:34人
データを見る限り、3つの違いは分からずとも、2つの違いは分かる人が大半だったようです。
相手の使い分け方に「気になる」と言う方は40%と半数以下ですが、それでも『一般常識がなってない!』と感じる方も中にはいらっしゃると思いますので、正しく使えるに越したことは無いですね。
まとめ
弊社・当社・自社・わが社・小社の5つの使い分けについて解説しました。
基本的には「弊社」「当社」を正しく使い分けられていればOKでしょう。
【相手の会社】を表す「貴社」「御社」も正しく理解しておきましょう。
関連ページ
>>「御社・貴社」の意味と違いとは?5割の人が知らない使い分け方