開業届は収入・売上なしでも要提出?その場合は確定申告も必須?

開業届は収入・売上なしでも要提出?その場合は確定申告も必須?

こんにちは。

 

大阪で、行列の出来るラーメン店「人類みな麺類」など、6つのラーメンブランドを運営している松村貴大(@jinrui_mina_men)と申します。

 

事業を始めたけど売上(収入)が無い。
事業を始めたけど赤字が続ている…。

 

そんな状態に陥る方も多いですが、それでも開業届は出さなければならないのでしょうか?

 

また開業届を出した場合、売上0や赤字続きでも確定申告が必要なのでしょうか?

 

分かりやすく解説していきます。

 

 

 

 

法律を交えつつも「わかりやすく」解説しました!


 

 

 

開業届は「収入(売上)なし」や「赤字」の状態でも提出が必須?

開業届は「収入(売上)なし」や「赤字」において、提出する必要があるのか?

 

結論から言うと、売上0であっても赤字であっても、それを「事業」として行っており、実態があるのであれば提出した方が良いです。

 

理由としては大きく以下の3点。

 

  1. 開業届を提出するのが義務となっている
  2. 青色申告により赤字を繰り越せるため
  3. 社会的信用が増す

 

 

売上0や赤字でも提出すべき理由
1.開業届を提出するのが義務となっている

まずは大前提として、開業届は「事業所得が生じる事業を開始後、1ヶ月以内に提出しなければならない」所得税法に記されています。

 

第二百二十九条

居住者又は非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し、又は当該事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、若しくはこれらを移転し若しくは廃止した場合には、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日から一月以内に、税務署長に提出しなければならない

引用:所得税法

 

そのため、あなたが(実態のある)事業を行っているのであれば、「売上0」であっても「赤字」であっても開業届は出す必要があります。

 

たとえば飲食店をオープンして全くお客様が来なかった場合でも、事業としては開始しているため提出するのが義務。

 

ただし開業届は「出していない or 1ヶ月以上過ぎてから出す」という場合でも、罰則が設けられていないため「出さない人」が多いのも現状です。

 

なお副業の場合、得た収益は一般的に「雑所得」として処理されてしまいます。

 

そのため所得税法にある「事業所得が生じる~」という文言には一致せず、基本的には提出する必要はありません。

 

※副業でも事業所得になることがありますが、話が長くなるため詳しい解説は省きます

 

ただし副業でも「確定申告」は必要になる可能性がありますので、この後解説します。

 

売上0や赤字でも提出すべき理由
2.青色申告により赤字を繰り越せるため

開業届を提出すると同時に「青色申告承認申請書」を提出することで、「青色申告」が可能になります。

 

※開業届を出さずに「青色申告承認申請書」だけを提出することは出来ません

 

青色申告をする場合、特典として「最大3年間の赤字繰り越し」が可能。

 

たとえ売上が0であっても、事業としての実態がある上で経費が掛かっているのであれば、それは「事業を行う上での必要な経費だった」ということで翌年以降に繰り越せます。

 

ちなみに「実体がある」という部分はかなり重要なので、後ほど説明します。

 

関連ページ
>>青色申告承認申請書の正しい書き方と、期限など7つの注意点を解説

 

 

売上0や赤字でも提出すべき理由
3.社会的信用が増す

開業届を提出する際に「開業届の控え」を一緒に渡すと、控えに「受領印」を押した上で返却してもらえます。

 

この「控え」があることで

 

  • 融資を受ける
  • 屋号での銀行口座を開ける
  • クレジットカード決済やQRコード決済を導入できる

 

といったビジネスの基盤が出来るのですが、これは「開業届によって社会的信用を得ている」とも言えます。

 

今はまだ売上が低迷していたとしても、これからビジネスを大きくしていく上で「融資」や「屋号の付いた銀行口座」が必要になるかもしれませんので、開業届の提出は無駄では無いでしょう。

 

 

 

上記以外にもメリット・デメリットが存在します。
気になる方は以下もどうぞ。

 

関連ページ
>>個人事業主が開業届を出す10のメリット・デメリットを解説する


 

 

 

 

開業届を出すと売上が「0円or低い状態」でも確定申告は必須?

開業届を提出した場合、「売上がない」「赤字状態」「かなり低い」という場合でも確定申告が必須になってしまうのか?

 

結論から言いますと、「開業届の提出有無」と「確定申告の要否」は関係なく、

 

  • 開業届を出していても、所得が基準以下であれば確定申告は不要
  • 開業届を出していなくても、所得が基準以上であれば確定申告が必要

 

です。

 

個人事業主であれば所得が38万円以上、副業であれば副業での所得が20万円以上あれば確定申告が必要。

 

ただし、売上の低迷により赤字だった場合、青色申告によって赤字の繰り越しが出来ますので、所得が38万円以下であっても確定申告は必ずすべきです。

 

 

ちなみに「個人事業主は38万円以上の所得であれば確定申告が必要」の理由としては、基礎控除が38万円あるため、38万円以下の所得であれば0円になるから。

 

また「副業であれば、副業での所得が20万円以上あれば確定申告が必要」の理由としては、所得税法121条において「給与や年金以外の所得が20万円以下であれば、確定申告は必要ない」との旨が記載されているからです。


 

 

 

 

開業届を出しても「税金逃れ」は出来ないと考えておこう!

中には『開業届を出せば、経費と給与所得・不動産所得を相殺して、税金負担を軽くできる』と考えている方もいらっしゃるでしょう。

 

これは「事業において発生した経費は、給与所得や不動産所得と相殺できる」という「損益通算」の考えを、『税金を減らすために使おう』というもの。

 

「サラリーマンが副業で経費計上して、給与所得を減らす」とイメージしてみると分かりやすいです。

 

このページでも何度か述べている通り、「事業が行われているという実態」が何よりも大切であり、事業としての実体がなければそれは「税金還付を狙った経費計上」です。

 

まず第一に、開業届を出したからと言って、すべての所得が「事業所得」として認められるわけではありません。

 

それと同じように、開業届を出したからと言ってすべての費用が「経費」として認められるわけではなく、当然「給与所得」との相殺が出来るわけではありません。

 

 

事業が行われている実態とは?

では何をもって「事業が行われている」と判断するのかと言うと、一つの指標としては「経費に対してそれなりの売上があるか」です。

 

たとえば、売上が120万円で経費が120万円掛かっているいるのであれば、ビジネスとしては違和感ないですよね。

 

しかし「経費100万円・売上10万円」となると、『それってビジネスとして成り立ってるの?税金逃れじゃない?』と思われても仕方ありません。

 

もちろん、極端な例を出せば「飲食店を始めるにあたり色んな費用を経費計上したものの、お客さんが驚くほど来なかった…」ということはありえるので、一概に「経費と売上のバランス」だけでは判断されません。

 

しかし「事業とは生産・営利を目的として経営する仕事」と考えると、あまりに売上が悪いと疑われます。

 

 

客観的に見て事業として成立しているか?

たとえばチャンネル登録者数が50万人いる「美容系Youtuber」の場合、化粧品や美容グッズの購入費は経費として認められてもおかしくありませんよね。

 

しかしチャンネル登録者数が10人しかいない(自称)美容系Youtuberの場合、経費として認められるかと言うとかなり微妙でしょう。

 

とは言え、事業として成立させるために一生懸命に毎日投稿している場合、登録者数10人はビジネスの通過点でしかありませんので、経費として認められるかもしれません。

 

もちろん登録者数でみられるわけではなく、売上があるのかなど総合的に見て「事業か否か」が判断されます。

 

この辺りは100%の正解は無いでしょうから、税理士によっても見解が変わる可能性は多いにありますが、「客観的見たときに事業として成り立っているのか?」は一つの基準としてあります。

 

 

 

まとめ

「開業届の提出」と「売上」「確定申告」の関係性について解説しました。

 

さいごに簡単にまとめます。

 

  • 売上0であっても赤字であっても、それを「事業」として行っており、実態があるのであれば開業届は提出した方が良い
  • 理由としては「開業届を提出するのが義務となっている」「青色申告により赤字を繰り越せる」「社会的信用が増す」など
  • 「開業届の提出有無」と「確定申告の要否」は関係なく、所得が基準に達しているか否かで、確定申告の要否が変わる
  • 事業としての実態があるのであれば、赤字だった場合でも、青色申告によって赤字の繰り越しが出来るため開業届は出すべき
  • 開業届を出したからといって何でも経費計上できるわけではなく、「事業が行われている実体」が大切である

 

 

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