【10秒でわかる】スキームとは?意味・使い方を具体的に解説します
こんにちは。
大阪で、行列の出来るラーメン店「人類みな麺類」など、6つのラーメンブランドを運営している松村貴大(@jinrui_mina_men)と申します。
ビジネスの世界で使われることの多い「スキーム」という言葉。
ここでは【中学生でも分かる】を目標に、「スキーム」の意味・業界ごとの使い方・類語との違いなどを分かりやすく解説します。
横文字になっているだけで、意味合いとしてはシンプルで分かりやすいです。
スキームの意味とは?まずは10秒で理解!
「スキーム」の意味について、結論から述べると『物事を実現するための具体的な計画』のことです。
主にビジネス用語として使われます。
よく使われる言葉としては「節税スキーム」がありますが、これは「合法的に税金を抑える具体的な方法・枠組み」のことです。
なお「スキーム」について日本語辞書を引くと、以下のように書かれています。
- 計画
- 企画
- 体系
- 枠組み(物事の仕組み)
ただし実際の使われ方としては、『物事を実現するための具体的な計画(深く練られた計画)』というニュアンスで使われます。
ちなみにスキームは英語「scheme」をそのままカタカナ読みしたもので、英語圏においてもビジネスシーンで使われる言葉。
英語「scheme」には上記のほかに
- 謀略(人をおとしいれるはかりごと)
- 陰謀
という意味も含まれ、これらはビジネス用語としてではなく、日常会話などで使われます。
上記以外の意味合いとして、IT分野では「scheme(スキーム)」というプログラミング言語が存在します。
ただし当ページでの説明は割愛します。
「言い換え」を知ると、意味がより深く分かる!
スキームの言い換えとしてはいくつかの言葉があります。
それらとの違いを知ることで、より「スキーム」という言葉の理解が深まります。
「スキーム」の言い換え
- プラン:計画のこと
- フレームワーク:枠組みのこと
- モデル:体系、構造のこと
これらは意味合いは似ていますが、微妙な違いとしては「具体性」の有無。
「スキーム」には、『具体的』『深く練られた』というニュアンスが含まれています。
一方の「プラン・フレームワーク・モデル」は『おおまかな状態』のものに対して使ってもOK。
ちなみに、どこから「スキーム」で、どこまでが「プラン・フレームワーク・モデル」に当たるかなど、明確な線引きはありません。
たとえば「事業計画」は、「事業スキーム」と「事業プラン」、どちらでも言い換えができます。
スキームにより近い類語
ちなみに、スキームに近く「入念で体系的な行動計画」のニュアンスを含む言葉には、以下の様なものがあります。
- 目論(もくろん)
- 計策(けいさく)
- 計略(けいりゃく):相手を騙そうとするニュアンスが含まれる
- 籌策(ちゅうさく)
- 方略(ほうりゃく)
「スキーム」単体での使い方を2つの例で紹介
ビジネス用語としてよく使われる「スキーム」。
「スキーム」単体では【(具体的に練った)計画】というニュアンスで使われます。
また、他の単語と組み合わせて使う場合もあります。
※組み合わせて使う言葉は、この後説明する「スキームがつく言葉」をご覧ください
【使い方例①】
新規案件について、スキームを作成しよう。
この場合、「新規案件の実現のための方法を具体的に計画しよう」という意味です。
【使い方例②】
このスキームの内容と、実際に確保したエンジニアのスキルに差があるようだ。
この場合、「人員について記載された計画内容と、実際に確保できた人員のスキルに差があった」という意味です。
「スキーム」がつく8つの言葉を解説!
ここでは「スキーム」が付く代表的な言葉を8つ解説します。
「スキーム」が付く8つの言葉①スキーム図
「スキーム図」とは、スキームを第三者でも分かるように図にしたものです。
口頭や文章で説明するよりも、理解を得やすいメリットがあります。
なお、スキーム図の形状には様々な種類があるので、スキームの特性によって使い分けましょう。
\クリックで表示/
スキーム図は大きく3つA. 相関型
様々な関係者同士のやり取りを示す際に使うスキーム図。
スキーム図は大きく3つB. フロー型
時系列に沿って計画を説明したいときに使うスキーム図。
スキーム図は大きく3つC. 樹形型
メインを中心に派生していく様子を表現したいときに使うスキーム図
「スキーム」が付く8つの言葉②事業スキーム(ビジネススキーム)
「事業スキーム」とは、『事業をどのように運営していくのか』を具体的に示す計画のこと。
いわゆる「事業計画」のことです。
「事業スキーム」を作る主な目的は3つあります。
事業スキームを作る目的
- 金融機関や投資家に「事業の継続的な収益性」を提示して、資金調達をする
- 経営者が事業を開始後、経営戦略を見直す際に使用する
- 社員に向けて、会社の方向性の認識を統一するために提示する
ちなみに「事業スキーム」を作成することは義務ではないですが、上記3つがメリットでもあるため多くの企業が作成しています。
なお、一般的に以下の内容が記載されています。
「スキーム」が付く8つの言葉③販売スキーム
「販売スキーム」とは、ザックリ言うと『売上達成のために、商品や販売方法を具体的に決めた計画』のこと。
「販売スキーム」を検討することにより、以下のメリットがあります。
- 具体的に数値化された計画を作れる
- 販売に関わる「ヒト、モノ、カネ」の一連の流れを捉えることができる
- 運用時、適宜現状を分析することで、販売における課題を浮き彫りにできる
上記により、事業スキームの中でも「販売スキーム」は最も重要と言われています。
\クリックで表示/
「販売スキーム」は、以下の二つの項目で構成されます。
- 販売戦略:『なにを・だれに・どのように』販売するかを決める
- 数値化:販売戦略に基づいて具体的に数値化し、売上や利益を決める
①販売戦略
『なにを・だれに・どのように』販売するかを決める。
- 「なにを」は、商品やサービスのこと
- 「だれに」は、顧客ターゲットのこと
例)性別、年齢、地理などを考慮して設定
- 「どのように」は、販売方法のこと
例)仕入れ、製造、店舗規模、営業時間など
②数値化
販売戦略に基づいて具体的に数値化し、売上や利益を決める。
- 「なにを」をもとに、販売単価を算出
- 「だれに」をもとに、販売数量を算出
- 「どのように」をもとに、「売上に関係する費用」を算出(原価など)
【売上の計算】
売上 = 販売単価 × 販売数量
【利益の計算】
利益 = 売上 - 売上に関係する費用
「スキーム」が付く8つの言葉④資金調達スキーム
「資金調達スキーム」は、新しく事業を立ち上げる際など、資金を調達するための仕組みのこと。
以下のポイントで調達方法を考えます。
\クリックで表示/
「設備資金」とは、事業を行うときに必要となる設備のお金のこと。
たとえば飲食業であれば、店舗内外装、テーブルやイス、厨房の機器などにかかる資金です。
「運転資金」とは、事業を行うときに日常的に必要となるお金のこと。
たとえば、広告費、人件費、外注費などを指します。
設備資金、運転資金以外に必要なお金のこと。
上記項目から、必要な資金額がでたら、それを得るための方法を選びます。
たとえば「自己資金」「金融機関借入」「助成金利用」などの方法があります。
「スキーム」が付く8つの言葉⑤返済スキーム
「返済スキーム」とは、借入金の返済計画のことです。
金融機関などから資金調達をした場合、契約内容に合わせて返済できるように、綿密な返済計画が必要。
資金調達スキームと同時に作成し、借入によって経営を圧迫することはないか確認することができます。
「スキーム」が付く8つの言葉⑥評価スキーム
「評価スキーム」とは、人や企業を評価するための枠組みのこと。
人事評価や事業評価などに用いられます。
きちんと体系的に構築された評価方法は、客観的に評価することができるので非常に大切。
「スキーム」が付く8つの言葉⑦M&Aスキーム
「M&Aスキーム」とは、売り手と買い手がM&Aを実行するための手法のこと。
ちなみにM&Aとは「Mergers(合併)&Acquisitions(買収)」の略で、文字通り「企業の合併・買収」のことです。
\クリックで表示/
以下の手法の中から、事業への影響や税負担などを考慮しながら、一番最適なスキームを選択します。
「株式譲渡」とは、売り手の会社のオーナーが保有する株式を買い手に譲渡すること。
会社の経営を移転させる手続きです。
なお、「株式譲渡」には以下のメリットがあるため、M&Aスキームの中で最も選択される手法です。
- 売り手のオーナーは譲渡株式の対価として現金を得ることができる
- 株主が変わること以外大きな影響がないため、対外的な影響が非常に少ない
- 会社の構成や株式数が変わるわけではないので、役所や法務局への手続きや申請が不要
ちなみに「株式譲渡」のデメリットは、『資産も負債も含めて』すべて引き継がれるところです。
【補足】「株式」とは、一般的に言われる「株」の正式名称のこと
「事業譲渡」とは、会社の一部または全ての事業を、他の会社に譲渡する行為。
売り手にとっての「不調な事業」と、買い手にとっての「必要な事業」が一致していれば、win-winな取引となります。
ただし「事業譲渡」は、資産や負債、雇用や取引関係などの契約全てを『個別に』移転するため、それぞれ個別に手続きが必要。
3つの手法の中で一番手続きが大変で、コストが大きくなりやすいのが特徴です。
その反面、個別に手続きするため、
- 売り手は残したい資産を
- 買い手は欲しくない負債を
譲渡対象から外すことができます。
「会社分割」とは、会社の一部または全ての事業を、他の会社に移転する手法。
「事業譲渡」と似ていますが、本質が異なります。
会社法において、「会社分割」は『組織再編行為』にあたり、組織を変えるための行為であること。
「事業譲渡」は『取引行為(売買行為)』にあたり、適用される法律や手続きの流れに違いがあります。
また「会社分割」は、資産や負債、雇用や取引関係などの契約全てを『包括的に』移転するため、個別の手続きが不要です。
「スキーム」が付く8つの言葉⑧URLスキーム
IT用語である「URLスキーム」とは、URL(URI)の先頭部分のこと。
たとえば「http://www.abcdefg.com/」というURLであれば、URLスキームは「http」を指します。
これは、インターネット上の資源にアクセスするための手段のことです。
ポンジスキームの意味とは?具体的な流れを図で解説
ポンジ・スキームとは、金融詐欺の一種です。
詐欺師が「あなたの代わりに資産を運用して利益を配当します」と約束して、出資者からお金を集めるが、実際には資金運用していない手口のこと。
ここでの「スキーム」は、【謀略】【陰謀】の意味合いを持ちます。
具体例として「ポンジ・スキーム」は下記の流れで行われます。
ポンジ・スキームの流れ
- 『預けるだけで月利10%』などと持ち掛け、お金を集める
- 運営者(詐欺師)は集まったお金を運用せず、実は何もしていない
- 投資家たちから集めたお金を「配当」として横流しする
- 『実際に配当がもらえた』という口コミとともに、投資家が増える
- 投資家が増え、ある程度お金が集まったら、詐欺師は姿を消してしまう
余談ですが、「ポンジ」はアメリカにおける伝説の詐欺師「チャールズ・ポンジ」の名に由来しています。
つまり【ポンジ氏が作り出した詐欺計画】ということですね。
「スキーム」と似た言葉「スキーマ」との違いとは?
「スキーム」と似た言葉である「スキーマ」。
本質的な意味合いは似ていますが、『言い換え』として使われることはありません。
現在、日本において「スキーマ」が使用される際の意味合いは、主に以下の2つです。
- データベースにどのような構造でデータを格納するか定義したもの
- 心理学用語で「ある出来事に対するまとまった記憶」のこと
ただし、本質的な意味合いの違いは以下の通りであり、「スキーム」とは近いニュアンスがあります。
- スキーム:具体的にほぼ『完成された計画や枠組み』
- スキーマ:『おおまかな状態の計画や枠組み』⇒(スキームの一歩手前の状態とも言える)
本質的には似たような言葉ではありますが、実際の使われ方は全く異なります。
まとめ
スキームについて、意味や語源、使われ方、類語との違いについて解説しました。
最後にカンタンにまとめます。
- スキームとは英語「scheme」をカタカナ読みした言葉であり、『物事を実現するための具体的な計画』のこと
- 英語「scheme」には【謀略(人をおとしいれるはかりごと)】【陰謀】などのニュアンスも含まれる
- スキームには、『具体的』『深く練られた』というニュアンスが含まれているが、「プラン・フレームワーク・モデル」は『おおまかな状態』のものに対して使ってもOK
- ポンジ・スキームとは「金融詐欺の一種」であり、アメリカで伝説の詐欺師「チャールズ・ポンジ」の名に由来している
- 似た言葉「スキーマ」は、本質的には似た意味を持つが、実際の使われ方は全く異なる