【10秒でわかる】マージンとは?意味と4つの使い方を解説します
こんにちは。
大阪で、行列の出来るラーメン店「人類みな麺類」など、6つのラーメンブランドを運営している松村貴大(@jinrui_mina_men)と申します。
ビジネスの世界で使われることの多い「マージン」という言葉。
ここでは【中学生でも分かる】を目標に、「マージン」の意味・業界ごとの使い方・類語との違いなどを分かりやすく解説します。
業界によって使われ方は異なりますが、意味としてはどれもシンプルです。
マージンの意味とは?まずは10秒で理解!
まずは結論から説明します。
マージンは英語「margin」をカタカナ読みした言葉であり、ビジネスシーンにおいて主に以下の2つの意味で使われます。
- もうけ
- 手数料
ただし上記以外にも、一部業界では以下のような意味で使われます。
- 証拠金(詳細はこのあと解説します)
- 余白、縁
- 余裕
これらの意味合いは、語源を紐解くことで分かります。
「語源」から分かる意味・ニュアンス
マージンの語源はラテン語の【margo】であり、「端」「縁」という意味。
それが英語の「margin」になり、marginはラテン語と同じく「用紙の縁」の意味を持ちつつも、“余白”“欄外”“余裕” の意味も加わりました。
そこから派生するかたちで、【経費の“余裕”のある部分】というニュアンスで「もうけ」「手数料」などの意味合いが加わりました。
業界で変わる「マージン」の4つの使い方
上述の通り、マージンには様々な意味があります。
ここではそれぞれの意味合いと使い方について、わかりやすく解説していきます。
業界で変わる「マージン」の4つの使い方①「もうけ」を意味するマージン
ビジネスシーンにおける「マージン」とは、一般的に「もうけ」を指します。
厳密に言うと「粗利益(売上総利益)」のことを言いますが、ここではシンプルに説明します。
粗利益(売上総利益)とは、売上から原価を引いた後に残る利益のこと。
分かりやすく例を出してみましょう。
【例】
スーパーマーケットにて、以下のレタスをすべて完売した場合について。
- 売値:140円
- 原価:90円
- 個数:200袋
この場合のマージンは、
1万円(50円×200個)です。
「粗利」について詳しく知りたい方は、「【中学生でも分かる】粗利とは?計算方法と粗利率の意味・重要性」をご覧ください。
【マージンを使った例文】
- 昨今の海外情勢による原価高騰により、マージンが小さく経営が苦しい。
- 前期と比べて、今期のマージンは2倍に増えた。
業界で変わる「マージン」の4つの使い方②「手数料」を意味するマージン
仲介ビジネスにおいて「マージン」とは、「手数料」の意味。
つまり仲介ビジネスの「手数料」は、上であげた「もうけ」と同じ意味です。
ここでは3つの業界を例に説明します。
「手数料」を意味するマージン人材派遣業界におけるマージン
人材派遣業界における「マージン」とは、派遣してもらう側が支払う『派遣料金』から、派遣社員に支払う『給料』を引いた後に残るお金。
つまり、人材派遣会社が得る「もうけ」のことです。
【人材派遣業界での使用例】
- 派遣会社A社は、他の企業よりもマージンが高いため、交渉する必要がある。
- この分野における技術者は少ないから、通常の派遣より5%高いマージンを取るとしよう。
「手数料」を意味するマージン不動産業界におけるマージン
不動産業界における「マージン」とは、売主と買主、貸主と借主の間を取り持ち、契約成立した際に不動産会社がもらえる成功報酬(仲介手数料)のこと。
この仲介手数料(マージン)の上限額は法律で定められています。
【不動産業界での使用例】
- このマンションのマージンは、家賃1.5か月分という契約で交渉を進めます。
「手数料」を意味するマージン広告業界におけるマージン
広告業界における「マージン」とは、広告代理店に支払う手数料のことを指します。
ちなみに広告代理店とは、「広告を出す会社」と「掲載する媒体(新聞・雑誌・テレビなど)」との間を繋げる会社のこと。
【広告業界での使用例】
- 広告予算の20%をマージンとする条件で交渉している。
業界で変わる「マージン」の4つの使い方③「証拠金」を意味するマージン
投資業界において、「マージン」とは「証拠金」を指します。
「証拠金」とはカンタンにいうと、投資家が「保証として証券会社や金融機関に預けておく一定額のお金」のこと。
また「マージン(証拠金)」を使用した取引に、「マージン取引(証拠金取引)」があります。
マージン取引では、この「証拠金」を担保として、この証拠金の額よりも大きな金額の取引を行うことができます。
【証拠金の意味での使用例】
- 5万円のマージンで50万円分の取引を行い、利益が出たので現金化した。
有名なマージン取引の例として、「FX」などがあります。
しかし株や為替取引に関する詳しい説明は、専門外のため割愛します。
業界で変わる「マージン」の4つの使い方④「余白」「縁」を意味するマージン
英語のマージン(margin)では、「余白」「縁」という意味合いも一般的です。
日本語においても一部業界で使われるので、以下に紹介します。
「余白」「縁」を意味するマージン印刷業界におけるマージン
印刷業界における「マージン」とは、「余白」を意味します。
【印刷業界での使用例】
- 冊子にした際に、文字が切れないようにしっかりマージンを取るようにしてください。
- この専門書はマージンをたくさん入れることで、書き込みをしやすい仕様になっている。
「余白」「縁」を意味するマージンWEBページ作成におけるマージン
WEBページ作成における「マージン」とは、「余白設定」を意味します。
ただし「余白設定」には「マージン(margin)」と「パディング(padding)」があり、以下に違いをカンタンにまとめました。
- マージン:枠の「外側」部分の余白
- パディング:枠の「内側」部分の余白
【Webページ作成での使用例】
- ホームページのレイアウトが崩れないよう、適切にマージン設定を行う。
- 「見だし」の上下に、マージンを10pxずつ入れてください。
「余白」「縁」を意味するマージン歯科業界におけるマージン
歯科用語におけるマージンとは、「“歯” と “詰め物(被せ物)”との境目」のこと。
「境目」は「縁」から派生した意味合いです。
【歯科用語としての使用例】
- 前歯に被せ物をする際に、マージンが見えないように配慮した。
「余白」「縁」を意味するマージン医療業界におけるマージン
医療におけるマージンとは、癌(がん)の周りの「癌細胞が存在しないと想定される範囲」のこと。
たとえば手術の際、癌を根本的に完治させるために、マージンを確保したうえで(正常と思われる細胞も一緒に)切除します。
この「マージン」は「切除縁」とも呼ばれます。
「マージンを取る」の5つの意味と使われ方
ここでは、頻繁に使われる「マージンを取る」の表現について解説します。
まず、業界で変わる「マージン」の4つの使い方で説明の通り、「マージン」には様々な意味合いがあります。
同じように「マージンを取る」についても、文脈によって
- マージン
- 取る
それぞれの言葉が示すニュアンスが若干変わるため要注意。
以下に5つの項目でまとめてみました。
「マージンを取る」の5つの意味①「利益を得る・もうけを確保する」の意味合い
【使用例】
大量に仕入れることで、安価な販売価格でも十分なマージンを取ることに成功した。
「マージンを取る」の5つの意味②「手数料を徴収する」の意味合い
【使用例】
あの広告代理店は高いマージンを取ることで有名だが、必ず実績を出している。
「マージンを取る」の5つの意味③「証拠金を徴収する」の意味合い
【使用例】
証券会社が取引相手からマージンを取る際に、基準となる金額の計算方法がある。
「マージンを取る」の5つの意味④「余白を確保する」の意味合い
【使用例】
WEBページの両端でマージンを取る理由は、情報を見やすくするためである。
「マージンを取る」の5つの意味⑤「余裕をもつ」の意味合い
【使用例】
発電できる最大量は、想定される需要よりもマージンを取ることでトラブルに備えている。
4つの意味別の言い換え(類語)まとめ
「マージン」には様々な意味合いがあるため、いろいろな言い換えができます。
以下に各意味合いにおける言い換えをまとめました。
4つの意味での言い換え(類語)①「もうけ」を意味するマージンの言い換え
- もうけ
- 利益
- 粗利益
⇒売上から原価を引いた後に残る利益
- 売上総利益
⇒売上から原価を引いた後に残る利益
- 差益
⇒売買や為替の変動などで発生する利益
- 利ざや
⇒売値と買値(または貸金と借金)の差額によって生じる利益
4つの意味での言い換え(類語)②「手数料」を意味するマージンの言い換え
- 手数料
- 相談料
- 仲介料
- コミッション
⇒販売手数料のこと
- 口銭(こうせん)
⇒販売手数料のこと(口銭を取る)
- 上前(うわまえ)
⇒手数料のこと(上前をはねる:賃金や代金の一部を取り次いだ人が自分のものにすること)
- 上米(あげまい)
⇒手数料のこと(上米を取る)
4つの意味での言い換え(類語)③「証拠金」を意味するマージンの言い換え
- 証拠金
⇒投資家が証券会社や金融機関に預けておく一定額の保証金
- 保証金
⇒契約や取引を実行した際に生じるかもしれない不利益に対して、あらかじめ用意する補いのお金
- 担保金
⇒担保として提供されるお金(証拠金と同じ意味)
- デポジット
⇒保証金のこと
- 手付金
⇒保証金のこと
- 頭金(内金)
⇒契約申込みの時に、一定の額だけ用意するお金
4つの意味での言い換え(類語)④「余白」「縁」を意味するマージンの言い換え
- 余白
- 空欄
- 空白
- スペース
- ブランク
- 縁(ふち/へり)
- 端
- 境目
「マージン」がつく7つの言葉を解説
さいごに、「マージン」がつく7種類の言葉を解説します。
マージンが付く7つの言葉①マージンミックス
「マージンミックス」とは、「粗利(マージン)割合の高い商品」と「低い商品」を組み合わせて(ミックス)販売すること。
マージンの高低には、それぞれ以下のメリット/デメリットがあります。
- マージン【高】もうけが多い⇔消費者の購買意欲の低い
- マージン【低】消費者の購買意欲が高い⇔もうけが少ない
マージンミックスの抱き合わせ販売を行うことで、「一定のもうけ」を狙うのが目的です。
たとえば、ハンバーガー店でのポテト・飲み物がついたセット販売。
これはマージンの「低い」ハンバーガーと、マージンの「高い」ポテトや飲み物を組み合わせて、「一定のもうけ」を出しています。
マージンが付く7つの言葉②バックマージン
「バックマージン」とは、カンタンに言うと「取引先への謝礼金」のこと。
【使用例】
- 我が社の商品を今期中に1000個販売したら、売り上げの5%をバックマージンします。
このように、販促目的で使われる日本独自の取引慣習です。
なおバックマージンは、「キックバック」「リベート」とも言い換えられます。
マージンが付く7つの言葉③マージン率
「マージン率」は主に派遣業界で使われる言葉。
ここでの「マージン」とは派遣会社の「もうけ」のことであり、「マージン率」とはその「割合」を指します。
法令として、派遣会社は毎年「マージン率」の実績を公開しなければなりません。
マージンが付く7つの言葉④マージンコール
「マージンコール」は投資業界で使われる言葉であり、ここでの「マージン」は「証拠金」のこと。
「証拠金」とは、投資家が証券会社や金融機関に預けておく一定額の保証金のことです。
そしてマージンコールとは、金融機関から投資家へ『口座の資金額が最低金額を下回わっている』ことを知らせる、緊急時の対応。
具体的には
- 口座に資金を追加する
- 要求される維持証拠金を減額するために、ポジションを清算する
などが求められます。
実は「マージン」には、最低限預けなければならない額が決まっており、最低額が下回ると投資を維持できません。
もしも「マージンコール」で定められた期日を過ぎても上記の対応をしなかった場合、強制的に決済(損切り)されます。
マージンが付く7つの言葉⑤マージンローン(証券担保ローン)
「マージンローン」は投資業界で使われる言葉。
マージンローンとは、保有している株を担保にお金を借り入れすることです。
カードローンなどの無担保ローン(オリコやレイク等)よりも、低い金利で借りることができます。
マージンが付く7つの言葉⑥セーフティマージン(安全マージン)
セーフティマージン(satety margin)は、「安全性を確保するためのゆとり」という意味です。
【セーフティマージンの使用】
- 高速道路で車間距離を取ることは、セーフティマージンを確保することに繋がる。
- F1業界においては、セーフティマージンを可能な限り削って、速さを追求している。
- スケジュールに安全マージンを取ることで、不測の事態にも対応できるようにした。
マージンが付く7つの言葉⑦マージンキャビネット
マージンキャビネットとは、壁に取り付けるタイプのPamouna社製の家具のこと。
床との間に「余白」が生まれ家具が浮いて見えるので、部屋がスッキリとおしゃれな印象になります。
まとめ
マージンの意味や業界毎の使い方、類語などについて解説しました。
最後にカンタンにまとめておきます。
- マージンは英語「margin」をカタカナ読みした言葉であり、ビジネスシーンにおいては主に「もうけ/手数料」の意味で使われる
- 投資の業界においては、「証拠金」の意味合いで使われる
- 印刷業界やweb業界においては「余白」を意味して使われる