「御社・貴社」の意味と違いとは?5割の人が知らない「使い分け方」を解説します
こんにちは。
大阪で、行列の出来るラーメン店「人類みな麺類」など、6つのラーメンブランドを運営している松村貴大(@jinrui_mina_men)と申します。
社会人になると、誰しも一度は疑問に感じることがあろう
- 御社(おんしゃ)
- 貴社(きしゃ)
の違いと、それぞれの正しい使い方をまとめました。
また、何となく似ている「弊社」との違いについても解説します。
クラウドサービスでアンケートを取ったところ、実に55%の方が「違いを知らない」というデータが取れました。
その点についても触れていきます。
「御社・貴社」の意味と違いとは?
御社と貴社は、ともに「相手の会社」を表す尊敬語です。
違いはと言うと、
- 御社(おんしゃ)
⇒話し言葉(口頭で使う時)
- 貴社(きしゃ)
⇒書き言葉(文字で使う時)
という使い分け方がされています。
ちなみに標準的な表現は「貴社」ですが、「きしゃ」という読み方から【帰社・汽車・記者】などと聞き間違える可能性があります。
そのため話し言葉では「御社」が用いられている、というのが一般的な解釈です。
ちなみに「御社」という言葉が使われはじめたのは、1990年代初頭からと言われています。
【実例】2つの使い分け方を紹介します
実際に2つの言葉を使い分け方を、例とともに説明します。
大前提として「御社」は話し言葉として使いますので、対面はもちろんのこと、電話(テレビ電話)など含めて「話す時」はすべて御社を使います。
一方の「貴社」は書き言葉なので、メールやLINE、履歴書、送付状など「書く時」はすべて貴社を使います。
では実際の使い分けを例とともに紹介します。
「御社」を使ったシーン(例)
会社説明会にて…
『御社に入社する上で、“こんな資格があったら良い”というものがあれば教えて下さい。』
面接にて…
『学生時代に培った経験を活かし、ぜひ御社で働かせて頂きたいと思っております。』
コンペにて…
『御社の課題である〇〇に対して、〇〇という観点から解決できるためご提案させて頂きました。』
「貴社」を使った文章(例)
メールにて…
『貴社より先日ご提案頂きました〇〇につきまして、ぜひ採択させて頂きたくご連絡させて頂きました。』
送付状にて…
『拝啓 貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます』
履歴書・エントリーシートにて…
『〇〇という理念に共感し、貴社を志望しております。』
「御社・貴社」がふさわしくない9つのケース
御社・貴社は「“相手の会社名”に対する尊敬語」と説明しましたが、以下のケースでは表現が異なります。
学校・学校法人
- 話し言葉:御校(おんこう)
- 書き言葉:貴校(きこう)
ただし「大学」に関しては、貴学(きがく)・御学(おんがく)という言葉が用いられます。
銀行・信用金庫
- 話し言葉:御行(おんこう)
- 書き言葉:貴行(きこう)
病院
- 話し言葉:御院(おんいん)
- 書き言葉:貴院(きいん)
店
- 書き言葉:貴店(きてん)
話し言葉での「御店」は辞書には存在しておらず、実際に使っているシーンは見聞きしたことありません。
そのため「そちらのお店」や、もしも会社形態である場合は「御社の販売店」「御社のお店」という言い回しで良いでしょう。
〇〇法人
- 話し言葉:御法人(おんほうじん)
- 書き言葉:貴法人(きほうじん)
役所(市役所やなど)
- 話し言葉:御所(おんしょ)
- 書き言葉:貴所(きしょ)
組合
- 話し言葉:御組合(おんくみあい)
- 書き言葉:貴組合(きくみあい)
協会
- 話し言葉:御会(おんかい)・御協会(おんきょうかい)
- 書き言葉:貴会(きかい)・貴協会(ききょうかい)
官公庁
〇〇省
- 話し言葉:御省(おんしょう)
- 書き言葉:貴省(きしょう)
〇〇庁
- 話し言葉:御庁(おんちょう)
- 書き言葉:貴庁(きちょう)
〇〇局
- 話し言葉:御局(おんきょく)
- 書き言葉:貴局(ききょく)
「弊社」は全く意味が異なる
似たような文字列で「弊社(へいしゃ)」があります。
こちらは「自分の会社」をへりくだって表現するときの言葉です。
具体的に言うと、“社外に対して” 自分の会社を表現する時に使います。
そのため「相手の会社」を指す御社・貴社とは、根本的に対象が異なります。
関連ページ
>>7割が間違える!「弊社・当社・自社」の違いと、正しい使い分け
実は気にしなくて良い?5割以上が使い方を知らないという現実
今回、クラウドサービスにて100人に対して『御社・貴社の使い分け方を知っていますか?』と質問しました。
その結果、なんと55人の方が『正直知らなかった』という回答でした。
また『相手が間違った使い方をしていたら、気になるか?』という問に対しては、63人が『気にならない』と回答。
このうち55人は『そもそも使いわけを知らないので気にならない』という方ですが、8人は『使い分けを知っているが、特に相手のミスは気にならない』という状況。
とは言え、一般常識としては「知っておくべき使い分け」なので今後のためにも覚えておきましょう。
今回のアンケート結果
対象:100人(クラウドサービス登録者)
アンケート内容・結果
質問①:貴社・御社の違い、ご存じでしたか?
- 正直なところ知らなかった:55人
- 知っていた:45人
質問②:相手が「貴社・御社の使い方」について間違っていた場合、気になりますか?
- 気になる:13人
- 口頭で「貴社」は気になるが、文面で「御社」は気にならない:21人
- 口頭で「貴社」は気にならないが、文面で「御社」は気になる:3人
- 特に気にしたことがない:63人
質問③:あなたは気にして使い分けていますか?
- 使い分けている:35人
- 違いを知っているが、「御社」しか使わない:9人
- 違いを知っているが、「貴社」しか使わない:1人
- 違いを知らなかったので使い分けていなかった:55人
データを見る限り、半数以下とは言えきちんと使い分けている人も多いですね。
「相手の間違いが気になる」と感じる人もいらっしゃるので、『常識が無い』と思われないように出来るだけ使い分けましょう。
まとめ
御社・貴社の使い分け方について解説しました。
社会に出てからも誤った使い方をしている方は多いですが、面接の場では「一般教養」として見られる可能性がありますので、意識的に使い分けましょう。
似たような漢字である「弊社・当社・自社」などとの違いは、以下にまとめています。
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